SAIで描くアルケミックイラストレーション(謎) byハサ兄

作品名:「紅の錬金術師エミリアと賢者の石」(オリジナル)
製作期間:2008年4月16日〜22日
SAIのバージョン:1.0.0
併用ソフト:Adobe Photoshop 7.0.1
タブレット:Intuos2
他に使用した機材:スキャナ

このお絵描き講座は、現在絶賛(?)構想中のオリジナル小説のヒロイン、エミリアさんを、
主に水彩ツールで描いたものを紹介しています。なお、本文で紹介するレイヤーで、
特に「乗算」などの指定が無い場合は、「通常」になっています。

STEP1:下絵を描いてスキャナで取り込む
A4のコピー用紙の半分に、0.5のシャーペンでラフを描き、0.3のシャーペンで清書。
(なお、エミリアさんは一朝一夕で描いたキャラではなく、4年前から描いているキャラです)
完成したら、スキャナに「解像度300のグレースケール」で取り込みます。
スキャナ取り込み後。荒いとか言うとエミさんに叱られますよ?

STEP2:フォトショップで準備
取り込んだエミリアさんの周囲を投げ縄ツールで囲んで選択反転→カットでゴミとり。
その後RGBカラーモードに変換し、チャンネルを選択範囲で読み込み反転、
好きな色(私の場合は目に優しい緑系)を新規レイヤーに塗りつぶします。
(あと、もうひとつ新規レイヤーを用意して、全て緑系に塗りつぶし、一番下に敷いて、
キャンバスに。これも目に優しくする為なので、お好みで)
SAIで主線を描き直すためこの時点での修正はなし

STEP3:SAIで主線を描く
SAIに切り替えて作業します。新規レイヤーを用意し、
「極めて黒に近く、限りなく黒から遠い色」・・もとい、非常に濃い茶系統の色で、
SAIの最大の特徴と言える(きっと)「ペン入れツール」を駆使し、主線を描き起こします。
線がずれた場合は、「Ctrl」キーを押すとパス線と点が出るので、これを操作して修正します。
細かい修正をしたい場合は、キーを押した状態でパス線に触れると、新しい点が出るので、
それを利用しましょう。なお、ペンのサイズは2.5です。
なお、顔(眉毛、瞳、鼻、口)と眼鏡は純粋な黒で描く事で、顔が見やすくなるようにしました。
レイヤーは「主線」、「顔」、そして「眼鏡」です。
あ、全身キャプチャしてなかった・・。次の画面では全身あります。

STEP4:肌の着色
新規レイヤーを用意して着色をします。(エミリアさんは北欧系なので)薄めの肌色を用意。
「水彩ツール」(筆の横にあるやつです)で、ぬりぬりします。
重ね塗りする部分やハイライト部分を意識しながら塗るといいでしょう。
へその部分を塗っているだけで、触っているわけではありません。念のため

STEP5:肌の重ね塗り、そして髪の着色。最後にハイライト
塗り終わったら、新規レイヤー(乗算)を用意して先の肌色より濃い色で重ね塗り。
この重ね塗りだけで3レイヤーも使いました。どのくらい重ね塗りするかは、
表現したい絵と相談するといいですよ。
重ね塗り=影の部分は、漫画雑誌やゲームの小冊子などを参考にしました。
ここは各自で研究〜ということで・・。(←やりなげか!)
更に、ほっぺの赤らみやくちびるをキュート&セクシーに、ピンクや赤系統で塗ります。
ポイントは化粧をするように塗る事。化粧をしたことの無い方(特に男性)は、
妄想力でカバーしてください。あ、私も一応男です。念のため。
そして、髪も塗っていきます。(下地となる髪の色レイヤーは新規ですが、
塗りは肌と同じく重ね塗り用の乗算レイヤーです。)
「髪は女の命」なので丁寧かつ滑らかに塗っていきましょう。
なんか企んでそうな口元が彼女らしい・・・?

塗り終わったら、ハイライト用のレイヤー(スクリーン)を用意して、
白色でハイライトを加えましょう。影同様、ハイライトも漫画雑誌(以下同文)
肌&髪完成全体部。改めて見ると高露出度だな〜

STEP6:服の着色
新規レイヤーを用意して赤色で服を塗ります。そして先ほどから使っている
「重ね塗り」レイヤーで重ね塗り。服のしわ(特に胸の部分!)に気をつけながら塗ります。
他の部分も一緒に塗っていますが、後に修正するので気にせずに
服の着色完成図

STEP7:目と眼鏡の着色
「目はキャラクターの命」と言われるように、描き方ひとつで、
キャラの生き生きさが違っていきます。ヤンデレ系などのうつろな瞳ならともかく、
一般的なキャラを描く場合は、「目ってすぐ塗れるから簡単〜(棒読み)」と思わずに、
熱血レベルMAXな勢いで塗っていきましょう!!!
(なお、肌&髪レイヤーは統合して、シェイプアップしています。)

まず大元になる目のレイヤーを用意、光彩は水色、他は濃い緑で塗ります。
薄い色だと死んだ目になりかねませんので、要注意!
あ、右目の下の部分塗り忘れてる!塗り忘れに注意です

目レイヤー2(乗算)を用意して、より濃い緑で瞳の中心を軸に重ね塗り。
光彩の線は、鉛筆レイヤー2.5でさくさくっと。
コメント・・なし(汗)

目レイヤー3(乗算)を用意して、更に濃い緑で塗ります。
特に中心部分はもっとも濃い色で塗るといいでしょう。
エミリアさんは、ヘビのイメージなので縦に伸びる線で塗りました

白目に陰影をつけるためのレイヤー(乗算)を用意、薄い紫で塗ります。
白目部分と、陰影の境目をぼかすように塗るのがポイントです。
目つき悪い?気のせいでしょ

ハイライトレイヤーを用意して、白色でハイライトを描きます。
ここだけは「エアブラシツール」での作業です。
まず、小さいサイズのエアブラシでぽんっと丸を乗せ、
その後、大きいサイズのもので、ふわ〜と丸の分乗せておくといい感じ♪
なかなか意志が強そうな瞳ですな

眼鏡のレンズを塗ります。え?「眼鏡のレンズなんて塗る必要ねーよ(不良風)」
という方は、ここは飛ばしてくださって結構ですわ!(お嬢風)
貴方が眼鏡をこよなく愛しているのでしたら、ぜひ呼んでくださいまし。
まず、眼鏡用のレイヤーを用意し、「マジックワンド」(選択ツール)で、
主線の「眼鏡」レイヤーを選択し、1ピクセル増加後、塗り用の眼鏡レイヤーに移動、
「バケツツール」で白色を流し込みます。この状態だと、何も見えないので、
レイヤーの解像度を下げます。(今回は40)
あとは、眼鏡の影をエアブラシ(薄い灰色)で塗ったり、消しゴムで透明部分を作ったりします。
眼鏡スキーな方(私とか)は、色々な眼鏡っ娘や眼鏡男子を見て研究してみましょう。
眼鏡はいいねぇ・・。オタクが生み出した(?)文化の極みだよ

STEP8:服の白い部分、帽子の羽、アクセサリーの着色
エミリアさんの着色も残りわずか。新規レイヤーを用意して、
服の白い部分、帽子の羽、アクセサリーを塗ります。
白部分は、先ほどの服の赤部分を塗った要領で行なえば問題ナッシングです。
帽子の羽は、あまり濃く塗りとふわふわ感を損ねるので注意が必要です。
重ね塗りが終わったら、主線レイヤーの「透明部分のロック」をして、
主線を描いた時に使った濃い茶色辺りをエアブラシを用意して、
羽の主線を消すように塗っていきます。これで、羽のふわふわ感がアップしますよ。
だが、こうして見ると塗りが濃かった気がする・・・(汗)

アクセサリー(ブローチと髪留め)は、それぞれ水色とエメラルドを思わせる緑で塗ります。
塗り終わったら、目の時と同様の手法でハイライトを加えていきます。

これでエミリアさんの完成です!やったー!!
全体完成図。気品とセクシーさを感じていただけたら嬉しいです

STEP9:背景を描く
エミリアさんは完成済みですが、背景が欲しくなってきたので急遽用意。
新しいキャンバスを起こし(解像度300)、鉛筆ツール(サイズ2.5)で
かりかりと下描き。ここではオレンジ系で描いていますが、自分の見やすい色でいいです。
モチーフは「アニメ・コミックから読み解く錬金術」(宝島社)に掲載されていた、
錬金術師ニコラ・フラメルのシンボルである「フラメルの十字架」
(十字架に掛けられた蛇は、「揮発の固定化」を表わしていて、
硫黄と水銀が結合し、賢者の石になるという寓意画。あの「鋼の錬金術師」の
エドとアルもこれをモチーフにしたシンボルを入れています。)
そして、左上にはハガレンなどの一般的なイメージにおける賢者の石。

蛇を描くのはかなり好きなので、描いていて楽しかった♪

新規レイヤーを用意して、濃い茶色で主線を描き起こしていきます。
十字架の直線部分は「Shift」キーを駆使しています。
主線完成図。この後オレンジの下描きレイヤーは破棄します

後は、色をつけていきます。賢者の石は水彩ですが、
フラメルの十字架は、先の鉛筆でかりかりと塗ってスケッチ風にしてみました。
色塗り完成図。まさかここまで錬金術な絵になるとは・・・


STEP10:人物と背景を合わせて完成させる
できた背景に、エミリアさんをそのまま乗せようとすると・・、
エミリアさんの透明部分が背景と一緒になってしまうため、
エミリアさん全身の選択範囲を用意して新規レイヤーに白を流し込み、
白いシルエットを用意します。
エミリアさん自体に白を流し込んだわけではないです。念のため

そして、エミリアさんのレイヤーを一番上にすると背景が重なる事はなくなります。
あと、背景の解像度を下げておきましょう。
ようやく完成?いえいえ・・、ここからが地獄だったのじゃよ・・・(遠い目)

更に背景を盛り上げる為、赤と黒を水彩で塗って見ました。なおこれは、
賢者の石の製造過程「黒化(ニグレド)→白化(アルベド)→赤化(ルベド)」を表わしています。
当初はこれで完成だったのだが・・・

フォトショップに移動して、
エミリアさんとフラメルの十字架には黄色いオーラ、
賢者の石には赤いオーラをエアブラシで加えた後、
何度も何度もフィルタを使って背景をいい感じにしました。
いずれも元のレイヤーは残しておき、コピーしたものにフィルタをかけていきました。
黒と赤は「点描」「粒状」(それぞれ別々のコピーレイヤー)、
フラメルの十字架は「木版画」、賢者の石は「押し出し(ピラミッド)」。
加えて、十字架と石は、レイヤー効果(ドロップシャドウ、ベベルとエンボス、輪郭)
を使いました。くわしい説明はSAIの講座から外れるためここでは割愛させていただきます。
(た、単に細かい手法を忘れたわけじゃないんだからねっ!)

そして、ついに完成ーーー!!!
作品完成図。言い忘れましたが下は穿いている・・はずだよね?


ここまで読んで下さって、本当にありがとうございます!
ご意見・感想は私のHP「ぐりもえ」にてお願いします・・・!