「奇跡呼ぶB / 今、虹色の煌めきの中で」


「さあ、ナーナさん。この現状はどーみてもあたしたちの勝ちでしょ?
あきらめて、あたしの所へ来なさい!・・・悪いようにしないから」

ふんぞり返っているコーナッタ博士は、ナーナとニャーニャに向かって手招きをした。
彼女のいうとおり、ナーニャ親衛隊は、クロックダインとグリッドティンカーという、
博士が作り出した2体の兵器によって全滅させられていたのだった。

言葉を失い、頭の中が真っ白になりそうなナーナ。
・・・しかし、彼女の後ろでおびえていたニャーニャが意外な一言を発したのだった。

「アクセス終了・・・にゃ」

「えっ?」
「フェイト・・?!」
ナーナと博士は、
ニャーニャはずっと震えていると思っていたので、驚いてしまった。


ナーナの後ろにいたニャーニャは、ようやく前に出てきて、2体の兵器を見つつ解説を始めた。
「あのワニ型の・・・クロックダインと名づけられた機体。
時間制御能力を持っていて、傷ついた装甲を完全な状態だった時間まで巻き戻してしまうのにゃ。

そして、もう1体の妖精型の・・・グリッドティンカーと名づけられた機体。
空間制御能力を持っていて、今周囲に発生しているマス目をボードゲームのように見立てて、
自機や味方のクロックダインを瞬間移動させるのにゃ・・・!」

その事実を突きつけられて、少しだけ驚くマル&ベル。
「俺たちの機体の秘密に気づくとはなぁ。それが“銀河の図書館(ライブラリ)”ってやつの力かぁ」
「・・・でも、それが分かって今更何が出来るというの?」

ベルの指摘に、ニャーニャは額に一筋の汗を流しながら言い返す。
「何が出来るかって?それは・・・、あんたたちをを倒す事にゃ!」

その言葉に驚き、止めようとするナーナ。
「やめてニャーニャ!親衛隊の皆が束になってかかっても勝てない相手にひとりだけじゃ・・・」

一方、マル&ベルはひとりで挑もうとするニャーニャを見てからかい始めた。
「ほぉ〜、さっきまで隠れていたくせになかなか見所があるじゃねーか!」
「でも、お嬢ちゃん。勇気と無謀を履き違えるなんて・・・ねぇ?」

ニャーニャを馬鹿にしつつも、戦闘態勢を取ろうとする2機に博士はストップをかけた。
「マル!ベル!フェイトに手を出さないで・・・!」

そして、博士はすかさずニャーニャに向かって叫んだ。
「フェイト!!あなた、“銀河の図書館”にアクセスしたでしょ!
自分の身がどーなるのか、わかってるはずよっ!!」

博士の叫びに対して返答するニャーニャ。
「・・・わかってる、わかっているにゃ。・・・でも、これだけはゆず・・れな・・・い・・」

博士は、ニャーニャの言葉が途切れ途切れになる様を見てショックを受けた。

そして、横で見ていたナーナは急いでニャーニャに肩を掴んで話しかけた。
「どういうことなの、ニャーニャ?まさか、さっき“銀河の図書館”を使ったから・・・?」

あわてるナーナにニャーニャは答えた。
「その・・まさかなのにゃ。
“銀河の図書館”にアクセスする代償として、自身の生命力をいくらか提供する必要があるのにゃ」

その言葉を聞いたナーナは、コーナッタ博士の方を向き怒りの言葉を発した。
「そんな危険なものをニャーニャに与えるなんて!
コーナッタ博士、あなたは人の心を捨ててまでこんな事を・・・!!」

怒りの形相のナーナにびびる博士だったが、急いで弁解を始めた。
「ちっ、ちがうわよっ!
あたしの研究所にある、生命維持装置で回復していたから、命の危険なんてなかった!
なのに、この子が脱走するもんだから・・・!!」

ナーナは博士の言葉を聞いて、ニャーニャに話した。
「ニャーニャ!君は・・・どうして命の危険を冒してでも研究所から逃げ出してきたの?
博士が君を心配している姿から察すると、別に虐待とか受けていたわけじゃないんでしょ?!」
「それは・・・、お姉ちゃんに出会いたかったから・・・なのにゃ!」
「えっ・・・!?どういうこと・・・?」

驚くナーナに、ニャーニャは自分の心情を全て伝えた。
「アタシは、かつて仮面結社軍の名も無き兵士だった・・・。
誰かにかまってほしい、その一心で高い成績を出し続けてきた。

その結果を見てコーナッタ博士は、アタシに力・・・すなわち“銀河の図書館”を与えてくれた。
銀河の全てを知る力を得たあの頃のアタシは、調子に乗ってた・・。
・・・でも、ある時ふと気づいた。アタシは、ただ“知っただけ”・・・。
全てを知っただけで、何か出来るわけじゃない自分にどこか虚無感を覚えるようになった。
けど、そんな自分に嘘をついて、ずっとアクセスして知識を得続けていた日々が続いた・・・。

ある日、博士がアタシにある任務を命じた。
それは・・・“ナーナ・オーアルブル、およびモノケロースの奪取”
さっき博士が言っていた計画のこと・・なのにゃ。

アタシは、知っているだけじゃなくて“何かできる”事を証明したかった。
だから、絶対に任務を成功させようと、
ナーナ・・・お姉ちゃんの情報を出来る限り調べてみた。
歌手であること、多くの人をとりこにしている名曲を数々発表していること・・・、
アタシは念のため、その歌のいくらかを聴いてみた。

お姉ちゃんの歌を聴いて、かつてのアタシ・・・フェイトは死んだ。
流れ続けるメロディ、そして魂の底まで震わせるお姉ちゃんの歌声が、
1匹の名も無き迷い猫を生み出した。
そう、その歌の魅力にハマり、今まで得た知識に意味を感じられなくなった迷い猫は、
もっとその歌を聴きたい!近くで!
そんな純粋極まりない本能が、研究所から脱出させる要因になった。

気づけば、イデア連合軍基地の近くまで流れ着き、お姉ちゃんと巡り会えたのにゃ・・・!
スパイ疑惑をかけられたアタシをかばってくれただけじゃなく、
アタシに「ニャーニャ」という名前を与えてくれて、しかも妹にしてくれたのにゃ!!
お姉ちゃんと会ってからは、本当に毎日が夢のようだったのにゃ・・・。
でも、もうアタシのお皿にある幸せはもういっぱいなのにゃ・・・ ・・・」

ニャーニャの目が虚ろになっていく様子を見て、ナーナは涙を流しながら必死に呼び止めた。
「何を言ってるの、ニャーニャ!君はもっともっと幸せになってもいいのよっ!!だから、生きてっ!」
「アタシも本当は生きたい・・・、生き残りたい・・・。
だから、敵の情報を調べて戦おうと思った・・・けど、アタシの命は・・・」



「ニャーニャたん、まだ諦めちゃいけない・・・!!」
意識が薄れていくニャーニャに声をかける者たちがいた。
周囲の瓦礫、・・・ではなく、
全滅だと思われたナーニャ親衛隊の機体たちが少しずつ立ち上がっていたのだった!

「ナーナ姫、ニャーニャたん。俺たちがふがいないせいで・・・」
「だが、俺たち親衛隊はこの通り!死んじゃいない・・・っ!!」

その様子を、待機中のマル&ベルが見てそこそこ驚いた。
「おぅ?思ったより骨があるヤツらじゃねーか・・・!」
「でも、そんな満身創痍の状態で戦えるのかしら?」

ナーナは親衛隊の無茶な行動をとめようと思った。
・・・が、彼らの勇敢な姿を見て、そしてニャーニャの心からの告白を思い出して、
自分の中の何かに気づいたのだった。
「・・・忘れてた。ボクの願い。そして、ボクに出来る事を。
世界が平和になってほしい!だから、ボクは歌い続ける・・・・!!

心優しき一角獣よ、ボクに力を貸してっ!
モノケロース、アクション!」

ナーナは、呼び出した愛機モノケロースに搭乗し、
味方を癒す「深愛の白写真帳-ホワイト・アルバム-」を歌い始めた。
その歌と共に、傷ついた親衛隊、そして彼らの機体も回復してゆくのだった。
・・・そしてニャーニャにも。

ナーナたちの陣営が復活していく様を見て、少しだけたじろぐマル&ベル。
「ちっ、そっちにも回復手段があったのか・・・。
だがなぁ、無限の再生力を持つクロックダインにはその対抗策も無駄だぁ!」
「そうよ、そしてこの空間の支配者であるグリッドティンカーの前に、
ひとり戦力が増えても無駄に終わるのよ・・・!」

「それはどうかにゃ?
コール・ディケロース!!」
ニャーニャは、愛機ディケロースを呼び出し搭乗した。

その様子を見て、驚いたナーナ。
「ニャ、ニャーニャ?!大丈夫なの?」
「うん!やっぱりお姉ちゃんの歌は最高なのにゃ!!
・・・ここからは全力で反撃するのにゃっ!

さあ、あんたたちの罪を数えるのにゃー!!」

マル=クロックダイン&ベル=グリッドティンカーに向かって言い放ち、
その後攻撃を仕掛けるニャーニャ=ディケロース。

「笑わせるなぁー!」
「もう1機増えた所で・・・」
すかさずディケロースを迎え撃とうとする、クロックダイン&グリッドティンカー。

親衛隊のサポートもあって、上手く攻撃をやり過ごしているディケロースだったが、
何だか動きがぎこちない気がした。その様子に気づき、ナーナは叫んだ。
「ニャーニャ!・・・無理はしないで・・・!」
「分かってるにゃ!・・・でも、お姉ちゃんがとびっきりの笑顔で歌い続けるなら、
アタシは2度とこの幸せを手放したりしないのにゃっ!!」
「分かったわ!ボクも全力で歌うっ!!ニャーニャ、君のために・・・」

ナーナは宣言どおり、今までよりも思いをたっぷりと込めて熱唱した。
命中と運動性を高める風の歌、「超世代-スーパー・ジェネレーション-」
気力を上げる炎の歌、「永炎-エターナル・ブレイズ-」
その思いに答えるように、強い波動を放つモノケロース。

歌の支援を受け、ニャーニャは今まで以上に激しく踊った。
エネルギー吸収レーザーを放つ月の舞、「DISCO THE SUCK」
カードと銃弾による射撃攻撃である切り札の舞、「MAGDALENE&JOKER」
その情熱に答えるように、強い力を発揮するディケロース。


「馬鹿な、俺たちが押されている・・だとぉ?!」
「き、気のせいに決まってるじゃない。今にその力も尽きるはず・・・!」
ご自慢の再生能力と瞬間移動能力があるはずなのに、なぜか押されていく事に気づき、焦りだすマル&ベル。

その戦いを、親衛隊は思わず手を緩めて見守っていた。
自分たちが立ち入れない状況だと、誰もが感じ取ったからだった。


ナーナとニャーニャ。
ふたりの思いと力が重なり合う、その時・・・!

モノケロースから光が放ち始めた!!
それは罰を裁く光ではなく、人を包み込む温かな光。

それと同時にディケロースから闇が放たれた!!
それは罪に苛まれる闇ではなく、人に安らぎを与える闇。

光と闇が絡み合う事で生み出される虹色を発する煌めき。
その七色の煌めきは、天まで届くほどの高さを放っていた。

夜明けより輝いている煌めきに、誰もが目を奪われていた。

そこへその煌めきに導かれるように、1羽の鳥が地平線から現れたのだった!
モノケロースとディケロースから放たれる虹色の煌めきに匹敵する、体毛を持つ極彩色の鳥。
その鳥の姿を見て、親衛隊は叫んだ!
「ま、まさか・・!あれは・・・伝説の・・・」
「虹色鳥ブレイブフェニックス!!」
「最近、ここら近辺で見かけたという報告があったが」
「本当に実在するとは・・・!!!」

「なっ、なになに〜〜〜?!!!」
待機命令を無視しているマル&ベルを止めれずにあたふたしていた、
コーナッタ博士は突然の出来事に驚きを隠せなかった。

突如現れた、虹色鳥ブレイブフェニックス。
彼(彼女?)は、モノケロースとディケロースをその大きな翼で抱くように包み込み始めた。


歌と踊りに夢中になっていたナーナとニャーニャは、
ブレイブフェニックスが出現したことに当初は気づかなかったが、
虹色鳥がふたりの機体に干渉を始めている事で、ふと我に返り気づいた。
ふたりは流星群が次々に流れていく銀河の中にいるようだった。

その神秘的な光景にニャーニャは呟いた。
「なんなのにゃ?この湧き上がる力は・・・。まるで銀河と一体化したようにゃ・・・」
同じくナーナも呟いた。
「それだけじゃないわ、ボクたちの思い-こころ-も力-からだ-も・・・」
「ひとつになる!!」

ふたりのシンクロした掛け声に合わせるように、
虹色の煌めきで覆われていたモノケロースとディケロースのボディがあらわになった。
その姿は、右側がディケロース、左側がモノケロースと、
ふたりの機体が合体していたのだった!

「モノケロースとディケロースがひとつになったーー?!!
ど、どどどどど・・・どうしてこうなったぁあああーーーー??!!!」
合体したふたりの機体に、コーナッタ博士の驚きは止まる事を知らなかった。

「おおっ!!!」
親衛隊メンバー達もみな一様に驚いた。



モノケロースとディケロースが、ブレイブフェニックスによって合体するまでに放たれた煌めきは、
イデア各地で目撃された。

更に月まで、その煌めきは届いたのだった。
現在、各勢力が月面を舞台にした「最後の決戦」は、
決着がつき、防衛側が侵略側に停戦を申し入れる最中だった。

月面からでも見える、イデアから煌めきは多くの者を驚かせた。
「何なんだ、あの光は?!!」
「すごく綺麗・・・☆☆☆」

仮面結社軍リーダーのドゥレアスがその煌めきを見て、テンションを上げた。
「そうだ、この時を待っていたのだ!
・・・ヴィクター特務少佐、頼むぞ」

ドゥレアスの指名を受け、人材開発室室長ヴィクター・シュトレーゼマンが姿を見せた。
「ハッハッハッハ・・・、お任せ下さい!
それでは皆様ご一緒に・・・、
エクスケローーーーーーーーーーーーーーース!!!!!

ヴィクターの叫びは、月面全域に響き渡ったような気がした。
(※月は空気が無い為、音は伝わらないので、あくまでイメージである)


場所は再びイデア、イデア連合軍基地周辺。

少しだけ落ち着きを取り戻したコーナッタ博士は、合体したふたりの機体を見て分析した。
「あのふたりは・・・銀河を手にしたのっ?もしそうなら、
銀河という無限に広がるフロンティアと直結している?!」

クロックダインを操るマル、そしてグリッドティンカーを操るベルは、
さきほどまで自分たちを心なしか圧倒していたふたりの機体が、
合体してパワーアップをしたことに焦りを感じた。
しかし、それを誤魔化すように威嚇を取り始めた。
「ふんっ!!」

モノケロースとディケロースが合体した機体は、動き始めた。
「クリスタルレターサーバー起動にゃ!」

ニャーニャのかけ声と共に、機体中央部の多色に光る部位が更なる煌めきを一瞬放った。
「このエクスケロース、および敵の全ての情報を受信したにゃ!」

ニャーニャにより、「エクスケロース」と命名された機体は、戦闘態勢を取り始めた。

「プリズムハルバードにゃ!」
ニャーニャが搭乗していたディケロースに当たる右側の腕に、
黒色と銀色で配色された武器が出現した。

「プリズムシールド!」
ナーナが搭乗していたモノケロースに当たる左側の腕に、
白色と金色で配色された盾が出現した。

「本気を出される前に、片付けるわよ」
武装したエクスケロースの姿を見て、
グリッドティンカーを操るベルは、クロックダインをたくみに瞬間移動させ始めた。
エクスケロースの不意をつき一撃を加えようという戦術のために。

ベルの計算どおり、クロックダインはエクスケロースの後ろに瞬間移動して一撃を加えようとする。
「痛恨撃を喰らえぇ〜〜!」

大きく右腕を振り下ろすクロックダインだったが、
エクスケロースはその攻撃を既に感知していて、プリズムシールドで余裕でガードした。

更に、カウンターとばかりにプリズムハルバードをソード状に変形させ、
クロックダインに斬撃をお見舞いした。
「うぉお!?」
不意を付いたはずが、逆に付かれてしまったクロックダインは思わずよろけた。

その隙を見逃さない!とばかりにエクスケロースは更なる攻撃を行なう。
「プリズムハルバード、フルドライブ!
ライトニングバスターにゃっ!!」
槍状に変形したプリズムハルバードが、クロックダインが激しく突き飛ばした!

「うわぁあ〜!!」
その攻撃でクロックダインは、周辺にある海まで吹き飛ばされたのだった。

水上で体勢を整えるクロックダイン。しかし・・・
「こぉんな傷、すぐに回復・・・
ええっ?!傷が回復しねぇ〜〜!!?
ウロボロスシステムが停止しているっ?!ち、力が出ねぇ〜〜・orz」

クロックダインの力の要である、
「ウロボロスシステム」による時間制御能力が使えない今、
クロックダインは装甲の自己修復はおろか、装甲を犠牲にした圧倒的な攻撃も封じられた事になる。

無敵の再生力を誇っていたクロックダインが無力化されて、衝撃を感じたベル。
「マルーー!!」

マルの仇とばかりに、ベルはグリッドティンカーを攻撃モードに切り替え、
エクスケロースに向かって攻撃を始めた。
「こぉんのぉーー!ハーフ・サウザンドボール!!」

グリッドティンカーの胸部にある目玉状の場所から、
さきほど親衛隊を一掃した技である「ハーフ・サウザンドニードル」を圧縮した、
エネルギー弾を連続発射した。

しかし、エクスケロースは先ほどと同様、余裕しゃくしゃくで盾ガードするのだった。

「ニャーニャ、今がチャンスよ!」
ナーナはニャーニャに呼びかけ、プリズムシールドに歌と踊りを込め始めた。

風の願いを込めた最高世代-スーパー・ジェネレーション-」
炎の思いを込めた永炎-エターナル・ブレイズ-
「月の祈りを込めたDISCO THE SUCK
切り札の力を込めたMAGDALENE&JOKER

ブレイブフェニックスを呼び寄せた4つの要素が集結すると、
プリズムシールドがそれぞれの色を放ち始めた。
「プリズムシールド、フルドライブ!
ブレイブフェニックス・イリュージョン!!」

シールドから虹色の煌めきが放たれ、
ブレイブフェニックスを象ったオーラがグリッドティンカーに向かっていった。

「無駄よ、瞬間移動ですぐに・・・
なっ?!グリッドゾーンがかき消されて・・・
うおぉおおおおおお!!!!」
グリッドティンカーはフェニックスのオーラの直撃を受け爆発を起こした!

「はうっ!!」
>ベルさんはログアウトしました。

瞬間移動能力を奪われたグリッドティンカーが撃墜された為、
操縦者であるベルが遠隔操縦していたコンピュータにもその影響を受け、
たまらずベルは座っていた椅子から転げ落ちてしまった。

その様子を見たマルはショックを受けた。
「ベルー!!!」

マルはベルの仇とばかりに、
クロックダインが特殊能力を無効化されたにもかかわらず、エクスケロースに突っ込ませた。

「お姉ちゃん、トドメの一撃を与えるにゃ!」
「分かったわ!反射ミラー&反射レーザー生成!」
ニャーニャの合図を元に、
ナーナがプリズムシールドを使って、
クロックダインの周辺に反射ミラーを生成し、レーザーを照射した。

クロックダインは、無数のミラーに何度も跳ね返るレーザーを
何度も喰らい身動きが取れない!
「て、てめぇーーーーー!!!」

間髪いれず、ニャーニャはプリズムハルバードを剣、大鎌、そして槍に変形させながら、
クロックダインに連続攻撃を仕掛けた。
その後、エクスケロースは天高く飛び上がった。

「お姉ちゃん、今にゃ!」
「うん!・・・ボクらはひとつになれる!!」

ナーナとニャーニャはお互いの手を取り合って、一緒に叫んだ!
「アンチェイン∞ハーツ・ブレイカー!!!」


激しい叫びと共に、上空から高速で急降下するエクスケロースは、
槍状に変形させたプリズムハルバードを全力全開で、クロックダインを一閃した。

強固な装甲を誇っていたクロックダインも、
エクスケロースの最大最強の必殺技には耐え切れず爆発を起こした。

「うぉおお・・・、うわぁああああ!!!!」
>マルさんはログアウトしました。


グリッドティンカーとクロックダインが放った爆煙が立ち込める中、
エクスケロースは威風堂々と立っていた。

「・・・ボクたち、勝ったんだよね?」
「そうだよ、お姉ちゃん!
モノケロースとディケロースがブレイブフェニックスの協力、
そしてアタシたちの思いと力でひとつになった、
極限を超越する者“エクスケロース”になって!!」

エクスケロースの腰部にくっついていたブレイブフェニックスは、
勝利を無事収めたことを感じ取り、エクスケロースから離れて天高く去っていった。
おそらく、住みかに帰ったのだろう。
それに合わせてエクスケロースは、元のモノケロースとディケロースに分離した。


「やりましたね!ナーナ姫!!ニャーニャたん!!」
親衛隊の喝采を浴びながら、
ナーナとニャーニャはコーナッタ博士がいる場所に向かった。

エクスケロースの戦いを見ていた博士は、
いつもの口癖「どうしてこうなった」すら発する事無く、沈黙のまま立ち尽くしていた。

「コーナッタ博士!」
「どう?アタシたちの大勝利にゃ!
これでお姉ちゃんを自分の計画に利用する事なんてしないでにゃ!!」

「・・・ええ」
ナーナとニャーニャの呼ぶ声に、少し間をおいて反応する博士。
その目には一筋の・・・

「あれ?博士、泣いてるのにゃ?」
「ち、違うわよっ!こ、これは目から汗が出てるだけっ!!」
自分が泣いている姿を見られて赤くなった博士は、急いで涙を拭い払った。

「コーナッタ博士、あなたが言ってた計画はもう止めるのよね?」

ナーナの質問に、博士はいつになく真剣な眼差しで答えた。
「ええ、約束どおり、あなたとニャーニャを利用する事も、
“エンドレス・オーガスト”計画もみ〜んなまとめて止めるわ!」

その言葉を聞いて、飛び跳ねながら喜ぶニャーニャ。
「やったにゃーー!!これで、お姉ちゃんとず〜っと一緒にゃ〜♪」
「良かった・・・!ホントに良かった・・・!」
ナーナは思わず感極まって涙を流した。

「そう言えば・・・、体の方は大丈夫なの?」
「大丈夫にゃ!エクスケロースの力を浴びて全回復にゃ!!
そして、銀河の図書館の力をエクスケロースに移行させたから、負担は無くなったのにゃ〜」
「・・・それを聞いて安心したわ!
ニャーニャ、これからも一緒にいようね!」
「うん!」

ナーナとニャーニャ。
本当の姉妹のように仲睦まじく抱き合う姿に、
横で見ていたコーナッタ博士は羨ましさを感じた。そして同時に感謝の念が生まれた。
「フェイト・・・いえ、ニャーニャ、・・・そしてナーナ。
ありがとう・・・!」
「博士・・・?」

博士はてれくさそうに、自分の心変わりを語ってくれた。
「あたしは、ずっと退屈を感じていた。
だから、自らの手で銀河を大いに盛り上げようと思っていた。
その計画のひとつが、“エンドレス・オーガスト”計画
・・・だった。
でも、そんなことしなくても、この銀河は退屈じゃなかった!
虹色の煌めきを放ち、迷わず突き進むあなた達を見ていて気づいたの。
最高の未来(あす)は、神様だってきっと創造-想像-できないって!
あなた達は、ふたりの手で極限を超え、
あたしが描いていた・・・今となってはちっぽけな未来(あす)を吹き飛ばしてくれた・・!
・・・だから、もう1度言うわ。ありがとう・・・!!」

嬉し涙を流しながら語ってくれた博士を見て、ふたりも何だか嬉しくなった。

そんな博士を見て、ニャーニャは思わずにこう告げた。
「コーナッタ博士、勝手に脱走してゴメンナサイにゃ!」

謝るニャーニャに、博士は首を横に振りながら受け答えた。
「ニャーニャ。あなたはもうナーナの妹として生きているのよ。
彼女の居場所があなたの居場所」
「は、博士・・・っ!」
「・・・でも、この戦いが終わってからでもいいから、
たまにはあたしの所に顔見せなさいよ?
・・・あなたといた時間、退屈しなかったんだから」
「わかったにゃ!あいがとうコーナッタ博士」

コーナッタ博士は、少し名残惜しさを感じつつも、自分の研究所に帰っていった。


その後、
イデア連合軍と民間義勇軍 対 遊星解放軍と仮面結社軍の戦争は、
解放軍の女王ラグネの停戦受け入れによって終幕を迎えた。
・・・しかし、惑星イデア、そしてこの銀河にとっての真の敵は、
遊星解放軍と仮面結社軍では無かったのだ。

「虚竜軍・・・だと?!」
「アルカムルドってやつが、諸悪の根源なのか!?」
「イデアの文明を2000年周期で滅ぼしていたなんて!!」

事の真相は各地に次々に伝えられた。
ナーナ達の元にも。しかし、ナーナ達はこうなる事をおおよそ感じ取っていたのだ。
それは、モノケロースとディケロースがひとつになれる力を与えてくれたブレイブフェニックスが、
その力と共に思いも伝えていたからだった。

死と新生をずっと繰り返してきたブレイブフェニックス。
そんな超越的な存在である不死鳥の力を持っても、
アルカムルドの手によって滅び行く文明を助ける事はできなかった。
勇気をまとっていた不死鳥は、滅び行く文明を何度も目にして、
自分の中の勇気が薄れていくことを感じていた。

しかし、今、小さな勇気と奇跡を胸に宿した者・・・
ナーナとニャーニャの活躍を目にして、
失っていたと思っていた勇気の心、そして奇跡を起こす力を思い出したのだ!


コーナッタ博士が気づいた最高の未来(あす)が待っている銀河の素晴らしさ、
そしてブレイブフェニックスの愛したイデアの全てを踏みにじる、
アルカムルド率いる虚竜軍。
彼らの悪行をこれ以上許してはいけない。

ナーナとニャーニャは決意を胸に秘め、“本当”の最後の決戦へおもむく。
「アルカムルド、かかってこーい!!」